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8.ヨーロッパの幼児教育の歴史

 

 「遊び」を中心とした幼児教育には、実はヨーロッパでの200年以上にも渡る歴史があります。フランス革命前のことです。

 その流れは明治維新を迎えた日本にも伝わります。欧米を外遊したあの大久保利通が、西欧のおもちゃを「教育玩具」として日本に紹介しました。そして明治9年、お茶の水大学附属幼稚園(東京女子師範学校附属幼稚園)が開園したわけです。それはともかくといたしまして…

 

 始まりはスイス。思想家のジャン・ジャック・ルソーが『エミール』を著し、「子どもの発見」を謳いました。「子どもは小さな大人ではない」という言葉は有名です。

 ルソーはスイスで生まれましたが活動の拠点はお隣のフランス。古い慣習としきたりに支配された中世ヨーロッパは「暗黒時代」とも言われます。当時は「子どもの真性は悪魔である」といった「性悪説」が主流でした。厳しくしつけるべきだ、と。それに対してルソーは「性善説」の立場をとったのです。

 今の私たちから見れば至極当たり前なことも、当時は過激思想となります。ルソーはフランスを追われスイスに逃げ帰ります。そのスイスにペスタロッチがいました。

 

 当時大学生だったペスタロッチは、ルソーの思想に影響を受けます。やがて学校を作ります。当時は教会が学校のような機能を果たしていましたが、ペスタロッチは戦争孤児を集めた小学校をつくりました。ペスタロッチは大変な人格者だったようで、彼の元を多くの人が訪れます。その1人が我々の大先輩であるフレーベルです。

 

 今から約150年前に幼稚園ができました。フレーベルはおもちゃの開発・活用に取り組んだ教育者です。そのフレーベルの思想が反映された積み木は今でも活用されています。もちろん、私たちの園でも取り入れています。

 ちなみに明治9年に始まった日本最初の幼稚園であるお茶の水幼稚園の最初の主任教諭はドイツ人の松野クララさん。この方はフレーベルから直接教えを受けました。日本の幼稚園の本流はまさにこの「フレーベル」なのですね。

 ヨーロッパは地続きなので、一人の発想や実践が他の地域に広がりやすいのです。スイスから始まった幼児教育の実践はヨーロッパの各地に飛び火します。

 

 フレーベルの後を継ぐように、イタリアではマリア・モンテッソーリが、オーストリアではルドルフ・シュタイナーが、それぞれ独自の幼児教育を発表し実践していきます。私たちの園でも、南部名誉園長がシュタイナー的要素、モンテッソーリ的要素を、さらにはハンガリーのコダーイ教育技術を部分部分で取り入れた幼児教育を行っています。

 私たちの園で使っているおもちゃは、ほとんどがヨーロッパから購入していますが、そうしたおもちゃメーカーの所在地がまた、こうした幼児教育の発祥の地である、スイスやドイツ、イタリアなどに集中しています。

 

 ヨーロッパのおもちゃとは、こうした200年に渡る幼児教育史の上にあるのですね。

(終)



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1.「9歳の壁」とは

2.思考力獲得の道すじ

3.子どもを賢くする4つの遊び

4.「ことば」と「遊び」の関係

5.手先と言葉と脳の関係

6.「絵本」は「生きる力」を育む!

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8.ヨーロッパの幼児教育の歴史

 


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