離乳食の味覚教育から、近年注目されている「腸と脳のつながり」まで。当園の食育の考え方について、よくいただくご質問にお答えします。
Q離乳食で「味覚」はどう育つ?
Aうま味の発見の歴史や、母乳とだし(コンブ)のアミノ酸成分の共通点から、当園では初期はコンブだし、中期はコンブ+鰹節というように離乳食を段階的に進めています。小さな頃の食習慣がその後の味覚を決めるといわれており、離乳食は味覚教育の出発点です。
出典:01号Qお箸はいつからどう練習すればいい?
A手首や指先の運動機能が十分に育っているかが大切です。スプーンの上手持ちから始まり、ひもとおしなどの遊びで手指の動きを促し、下手持ちへの移行を経て、自然にお箸へとつなげていきます。個人差が大きいので、焦らず発達段階に合わせることをおすすめします。
出典:03号Q砂糖・塩・脂の「至福ポイント」とは?
A食品メーカーは砂糖・塩・脂の3つのバランスを操作し、消費者の舌が心地よいと感じる「至福ポイント」を科学的に作り出しています。子どもの未発達な自制心が、こうした設計された味に上書きされてしまう危険性があるため、当園では給食の甘味を天然の三河本みりんに切り替えています。
出典:25号・97号Q鉄分不足は子どもの発達にどう影響する?
A幼児期にひどい鉄分不足を経験すると、後で改善しても脳機能の遅れを取り戻せない場合があるとされています。脳の神経線維を包む「髄鞘」の形成に鉄分は不可欠で、当園の給食室でも鉄釜を使うなど、鉄分をとる工夫を昔ながらの知恵として取り入れています。
出典:22号Qたんぱく質はどれだけとればいい?
Aたんぱく質は多ければ良いというわけではなく、自分の消化・吸収能力を超えてとると、悪玉菌のエサとなり腸内環境が悪化することがあります。京都府の長寿地域の研究では、たんぱく質の量よりも食物繊維や酪酸菌の存在が筋肉量の維持と関わっていることがわかっています。
出典:36号Qたんぱく質の摂取量と老化・長寿の関係は?
Aバッタやマウスを使った研究では、生物は必要なたんぱく質量を満たすまで食欲が止まらないことがわかりました。ただし、たんぱく質を多くとるほど良いわけではなく、老化しにくさ(長寿)という観点では、低たんぱく・高食物繊維の食生活が有利という結果も出ています。
出典:41号Q子どもの情緒と腸内細菌には関係がある?
A京都大学・大阪大学の共同研究では、腸に炎症を起こす菌が多い子どもほど問題行動を起こしやすく、緑黄色野菜をあまり食べない傾向があることがわかりました。3歳までに腸内細菌の分布の土台がつくられるとされ、幼児期の食育の重要性を裏付ける研究です。
出典:43号Q発酵食品はなぜ体にいいと言われる?
A世界最強の兵士といわれるネパールのグルカ兵が携行する「キネマ(干し納豆)」の例のように、納豆には五大栄養素がバランス良く含まれ、腸内環境を整える食物繊維も豊富です。当園でも海藻など、腸内の善玉菌を育てる食材を積極的に取り入れています。
出典:54号Qたんぱく質が少ない食生活でも健康は保てる?
Aパプアニューギニアの高地民族は、たんぱく質摂取量が非常に少ないにもかかわらず筋骨隆々です。これは腸内細菌が大気中の窒素からアミノ酸を作り出す仕組みによるものと考えられており、腸内細菌の働きが、たんぱく質不足を補う可能性を示す興味深い研究です。
出典:57号Q子どもが食べてくれないとき、大切な考え方は?
A「早く食べさせよう」と焦ると子どもは食に対して受け身になり、意欲が育ちにくくなります。0歳の食事介助から「少し待つ」姿勢を大切にすることで、自発的に食べにいく意欲が育ちます。食べる意欲は、遊ぶ意欲・学ぶ意欲・生きる意欲にもつながる、教育の核心の一つです。
出典:67号Q市販のジュースは体にどんな影響がある?
A清涼飲料水の多くは異性化糖(果糖ブドウ糖液糖)や着色料・香料などの添加物からできています。異性化糖は満腹感をもたらすホルモンの分泌を刺激しにくいとされ、健全な食欲感覚が鈍くなる原因ともいわれます。当園ではできるだけ水や麦茶をおすすめしています。
出典:85号Qなぜ給食の甘味を「みりん蜜」にしているの?
A砂糖のGI値(食後血糖値の上昇指標)が100であるのに対し、本みりんは15と低く、血糖値の急上昇を抑えられます。子どもの脳は感情のブレーキ役(前頭前野)が未発達なため、血糖値の乱高下が情緒の不安定さにつながりやすく、マイルドな甘みを大切にしています。
出典:93号Q腸内環境と受験勉強にはどんな関係がある?
A菓子パンやジュースなどで血糖値が急上昇すると、脳の感情センサー(扁桃体)が敏感に反応し、集中力や記憶力が下がりやすくなります。食物繊維を意識した食事で腸内環境を整えることが、情緒の安定、ひいては学習への集中力につながると考えられています。
出典:94号Qブロッコリーが子どもの脳を落ち着かせるって本当?
Aブロッコリーなどに含まれるトリプトファンが腸内細菌によって「インドール」という物質に変換され、脳の扁桃体の興奮を鎮めることがわかってきました。腸内環境を整えることが、感情の落ち着きにつながる「脳腸相関」の一例です。
出典:96号Q子どもの腸内細菌はなぜ大切なの?
A子どもの「血液脳関門(BBB)」は未発達で、脳が有害物質の影響を受けやすい状態にあります。善玉菌が作る酪酸はこのバリア機能を強化するとされ、海藻やもち麦などの食物繊維を意識することが、脳を守ることにもつながります。
出典:102号