「教える」ことの効果や、子どもの脳の発達、依存症の予防まで。近年注目されている脳科学の知見をもとに、よくいただくご質問にお答えします。
Q教わるより教える方が成績が上がるのはなぜ?
A教える側は情報をインプットした上でアウトプットするため、脳がより活性化します。「指示」ではなく「問いかけ」を重視することも、子ども自身の脳を働かせるための工夫です。異年齢クラスで年長が年少に教える経験は、年長にとって初めての本格的なアウトプットの機会になっています。
出典:21号・84号Q指を使うことと、ことばの発達には関係がある?
A指の動きを司る脳の「運動野」と、言葉の働きに関わる「言語野」は隣り合っており、密接に連携しているといわれています。「なぞり書き」で文字を読めるようになる例もあり、目と耳を「指の動き」がつなぐという考え方です。子どもがしっかり遊び込み、手を動かせているかが大切な観点になります。
出典:23号・90号Q中高生の市販薬・依存症の問題をどう考える?
A精神科医・松本俊彦先生の著書によれば、市販薬のオーバードーズが増えている背景には「否定される関係」「支配される関係」「本当のことを言えない関係」など、ゆがんだ人間関係があるとされています。動物実験でも、孤立した環境の個体ほど依存物質に手を出しやすいことが確認されており、幼児期の「基本的信頼感」が予防の土台になります。
出典:82号Q子どもの脳をどう育めばいい?
A子どもの脳は、感情のアクセル役である線条体に対し、ブレーキ役の前頭前野がまだ「建設中」です。この前頭前野を育てる原則は「待つこと」。また、大人が落ち着いた態度で接すると、ミラーニューロンの働きで子どもの脳にも同じ回路が作られていきます。
出典:92号Q親のストレスは子どもにうつるって本当?
Aストレスを感じると皮膚から特有の化学物質が分泌され、それが周囲の人の脳に伝わり、ストレス反応を引き起こすことが実験で確認されています。母親のストレスが子どもに伝わる現象も報告されており、ため息を深呼吸に変える、ゆっくり動くなどの工夫で、周囲へのストレスの伝染を和らげることができます。
出典:95号Q「独りでいられる能力」とは?AI時代に必要な力は?
A小児科医ウィニコットの言葉に「独りでいられる能力」があります。信頼できる母親がそばにいる安心感があってこそ、子どもは一人でも遊べるようになるという考え方です。AI依存が話題になる現代、心の中に「メンター」となる存在を持てるかどうかが、幼児期の絵本体験などによって育まれると考えられています。
出典:103号