夏見台幼稚園・保育園は食育にこだわった園です。ここでは幼児(3〜5歳)の食育についてまとめます。
大きな特長の1つが、「クラス配膳」です。おつゆ、おかず、ごはんなど、クラスの人数分を鍋に入れてクラスに運びます。そしてクラス内で取り分けます。
もちろん、調理場で盛り付けることは可能です。その方が機械的で簡単です。しかしそれだとやはり冷めてしまいます。できたてを、温かいうちに食べてほしいと思います。さらに「クラス配膳」には次のようなメリットがあります。
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私たち大人でさえ、その日の体調・機嫌などにより食の進み具合は異なります。小さな子どもではなおさらです。「いつもはよく食べるのに、どうして今日はあまり食べてくれないんだろう?」「今日はいつも以上によく食べるなあ!」こうしたことに敏感に気づくのがクラス担任です。
「今日のメニューには○○ちゃんが苦手なものが入っているな…」そんなときはいつもより控えめに盛り付けをする。柔軟な対応ができるのが「クラス配膳」のもっとも大きなポイントです。
私たちは子どもに「完食」してほしいと思います。「みんなは全部食べているのに、今日も残しちゃった…」という状態が続くと、食べること自体がいやになってしまうかもしれません。「全部食べられた!おかわり!」という流れを作っていきたいのです。
また何かの都合でクラス担任がお休みのときもあります。先生が変わったとたん、盛り付けがみんな同じ。画一的になると、食べられる子と食べられない子が出てくるのは当たり前です。しかしそんなときは、常日頃よりクラス担任のサポートに入っている「フリー」の先生が代わりに配膳します。
クラス担任とフリーが連携し、子どもの情報を共有しておれば、いつもと変わらないサポートが可能になります。ここまで細かなサポートをするのは、はじめて集団へ入る子どもたちへの配慮からです。ご家庭では限られた食の機会しかなかったわけですが、園の給食では色とりどり、見た目もさまざまな食材に触れます。
少しずつ新しい味・舌触りに慣れていき、1年がたってみれば、驚くほどさまざまなものを食べるようになっていくのです。長い目でみて、子どもの食体験を広げていく。そのための「クラス配膳」なのです。
私たちの園では、いわゆる一般の幼稚園・保育園でみられるような、全員一斉の「いただきます!」の風景はありません(行事食のときをのぞく)。
日本の教育は「みんな一緒!」ということが好きです。集団行動は日本人の美徳でもあり、私たちも集団で行動することはあります。しかし何でもかんでも一斉に行動することには疑問を感じます。特に幼児期とは「自律性」(自分で決める)を育む大切な時期でもあるからです。
そこで私たちは給食の時間に「小グループ制」をとっています。全員一斉に食べるのではなく、ある一定時間の枠組みの中で、机ごと・グループごとに一緒に食事をします。
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お昼だから強制的に遊びを中断させて食べさせる、というのも「しつけ」の一面でしょう。メリハリは大切です。ただ私たちが意図しているのは、「先生に言われたからではなく、自分の頭で考えて、自らの判断で、遊びから食事へと切り替えができること」なのです。これが「自律性」です。
「本当に満足した子どもだけが意欲的になれる」といったのは、児童精神科医の故佐々木正美先生でした。しっかりと自分の納得がいくまで遊び込み、かつ自分で遊びを中断すること。こうした積み重ねが感情のコントロールにつながります。これが今話題の「非認知能力」というものです。
もっとも、食事の時間を考えて「まだ遊んでいても大丈夫」と判断できるまでは、クラス担任が子どもを促すように声かけをしていきます(特に年少さん)。年長にもなれば、今までの経験から、自分の食べる量・食べるスピードがわかってきています。「友だちとも遊びたい、でもしっかりごはんは食べたい」という判断から、自分の意志で時間の管理をします。これが「小グループ制」です。
せっかく栄養たっぷりのメニューを用意しても、そもそも食べてくれないことには始まりません。そこでまず第一の工夫は「おいしそう!」「食べたいな!」と思わせる「見た目」です。カラフルな色合いで、思わず手が伸びそうな盛り付け。調理スタッフの工夫です。
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また「におい」も大事です。私たちの園は自園内に調理場があるので、お昼時には園舎内、場合によっては園庭にも、においが広がります。においは食欲を刺激します。
ビジュアルさえよければいいわけではありません。必要な「栄養バランス」。園には管理栄養士が2名常駐しているので、成長に必要な栄養をしっかりとれるメニューを組んでいます。なお食材は中国産は使用していません。国産のものに限っています。特に海藻は、中国産など海外のものが流通していますが、私たちの園は大手メーカーの「カネリョウ海藻株式会社」から純国産品のみを仕入れています。
特に今力を入れているのが、甘味。従来より精製された白砂糖は使わず「てんさい糖」を使用していましたが、現在「高級本みりん」へ切り替え中です。煮切ってアルコールを飛ばせば、砂糖の代替になります。2020年度内には、おやつを除く、すべてのメニューが砂糖不使用となります。

「角谷文治郎商店」の三河本みりんは、2016年の伊勢志摩サミットの料理にも使われました。最近では、パリやベルギーのチョコレートメーカーにも広がっているそうです。
「みりん風調味料」でなく、混ぜ物なしの「本みりん」。夏見台の食育はつねに本物志向です。本物のみりん(本みりん)は、3つの原材料からできています。米麹、もち米、米焼酎です。お酒として飲むこともできます。
本みりんは栄養たっぷりです。本みりんが作られる過程で、米のたんぱく質はアミノ酸に、でんぷんはブドウ糖や麦芽糖といった吸収されやすい形に分解されています。またビタミンも豊富。麹菌が繁殖するときに、ビタミンB1、B2、B6などのビタミンB群を生成します。江戸時代には、みりんが栄養ドリンクとして飲まれていたのはそのためです。
私たちは子どもたちの「舌」を育みたいのです。本みりんには、オリゴ糖が含まれているほか、アミノ酸のうまみ、有機酸の酸味など、味に深みがあります。子どもの敏感な舌で感じ取ってほしいものです。
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いい食材(だしもたっぷり!)を使っているので、味はおいしいです!スタッフも子どもたちと同じ給食をいただいています。「おいしそうだな〜」。中が見える給食室にしてあります。園庭で思いっきり遊んでクラスに戻るとき、おいしそうなにおいに誘われて、子どもたちは寄り道します。食べる意欲がかき立てられます。
「どんな人が作ってるんだろう?」。調理中は全員マスクなので、自己紹介代わりに、顔写真と名前を貼り出してあります。作っている人の顔が見えると安心して食べられます。

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ところで栄養は確かに大切なのですが、同じ魚料理でも、付け合わせの色合いで印象がずいぶんと変わってきます。切り干し大根やひじきなどの和の食材は積極的にとりたいものです。しかし毎日こうしたものが続くと…。そこでバリエーションです。カラフルな食材に変えてみる。しかもゴボウをサラダに入れることで、必要な食物繊維も補える。こんな工夫もまた、食への意欲を高めるのです。
月に1回「お楽しみ給食」があります。これは事前に内容を明かしません。まさにその日の「お楽しみ」。季節にあったものやお弁当形式のものなど、お子様ランチのような華やかさを工夫しています。
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私たちの園では年間を通してさまざまなクッキング関係の行事を行っています。その中でも特に、クッキングにしか使用しない「クッキング保育室」で行われる「キッズクッキング」を紹介します。
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子どもの背丈に合わせて特注された「子ども用キッチン・シンク」のおかげで、バリエーション豊かなクッキング保育が可能になっています。
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年長になると「キッズクッキング」があります。自分の給食を、メニューから考えるというものです。クラスによって作りたいものはさまざまです。メニューを決めるプロセスを大切にしています。最初はみんな個々に自分が食べたいものを主張します。しかし「これは○○ちゃんの苦手なおかずだね」「△△ちゃんはこれは絶対食べたいっていってるね」などと、みんなで話し合い妥協点を探ります。
こうしたコミュニケーションが可能になるのは年長さんだからこそです。自分の気持ちも表現できるし、友だちの気持ちも受け止められるからです。そうした苦労をへて作った給食は、格別なものでしょう。「自分たちで作った!」という満足感・達成感にあふれています。ふだんは残すような苦手な野菜でも、モリモリ食べてしまいます。
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作りたいし、食べたいし、何をやっても新鮮な感動体験となっています。各クラスによってメニューはさまざまです。ごはんを型抜きしてお子様ランチ風にするクラスもあれば、メインディッシュを押し込みすぎて時間ギリギリになってしまうクラスもあります。
園の給食にパンはでません(おやつで月1,2回ほど)。日本人の主食はお米。お米を自分で炊いておにぎりにするところをゴールとして、田植え体験から行っています。
ところで少し脱線します。戦後パン食が急速に普及し、それに合わせて摂取する脂肪分が増えていきます。それはなぜか?「水分含有量」が1つのカギです。だいたい以下のようになります。食パン 35%、フランスパン 30%、ごはん 60%、そば・うどん 70%。
私たちの体内の水分含有量は60〜70%くらいです。ごはんは60%なのでいいのですが、水分量の少ないパンは、口に入れると唾液が奪われパサつきます。それを防ぐには口の中の粘膜を油でコーティングし、唾液が吸われないようにする必要があります。パンの中に油が練りこまれているのはそのためです。ドレッシング、マヨネーズ、バター炒め…おかずも脂分が多くなります。
しかしごはんを中心とした和食はヘルシーです。日本人はもっとお米を食べるべきなのです。そのためにも、お米作りから体験していきます。園の畑の一角に、小さな田んぼを作ってあります。
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ただできあがったごはんをおにぎりにするだけでなく、1年を通して季節感とともに、お米を身近に感じてほしいのです。お米を自分たちで研いでみる。研ぎ汁の色の違いの変化も実際に確認する。その上でクラスに炊飯器を持ち込み、炊き上げます。部屋中にごはんのいい匂いが広がり、炊きあがると「うわぁ〜!」という歓声が上がります。
握ることがうまくできない年少さんには、年長さんがお手伝い。これも異年齢クラスのいいところです。年長になると給食室見学ができます。何もかも新鮮な体験です。大きなお鍋やお釜、たくさんの食材の山…。子どもたちは目を点にし集中して説明に聞き入ります。
夏になると、恒例の流しそうめん。毎年本物の竹をつないで行います。敷地内にある畑に種を植えて、頻繁に成長を見守ります。夏野菜など、収穫するとそのまま給食室に持ち込んで、その日の給食にもう一品追加です。自分でもいだお野菜はもりもりと食が進みます。体験としてかかわると、食への意欲も高まるのです。
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冬にはもちつき。自分でついたおもちをみんなで食べます。「よいしょ!よいしょ!」という声が園庭にこだまします。
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年に1回、クッキング保育室に保護者の皆さんをご招待して親子クッキングをします。ピザ、太巻き、うどんなど主食を手作りし、おかずはその日の給食を食べます。子どもにとっても親と一緒に園で過ごすことはほとんどありません。大好きなお母さんと一緒にするクッキングは格別で、みんな大喜びです。
園の食器はプラスチック製ではありません。ずしっと重い陶器。これは乳児さんも同じです。手でしっかり支えないといけない、落とすと割れてしまう、器は大事にしないといけないんだと感じてほしいのです。
食器の配膳も、先生がしっかりと子どもに教えていきます。また3〜5歳の幼児クラスでは、年長の当番が配膳を手伝います。当番も配膳位置をしっかりと守って行います。
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それから「食事中のマナー」も大事です。肘をついたり、膝を立てながら食に向かう子どもがいます。正しい姿勢を習慣づけることが大切です。
しかし、もしかしたらイスの高さなどの環境面はどうなのだろうか、と私たちは考えます。「本当はちゃんとした姿勢で食べたいけど、イスの高さが合わないから仕方なく…」という場合があるのです。ただやみくもに注意するのではなく、その子にあった高さなのか、見直します。
それはクラス担任だったり、サポートに入っているフリーの先生だったり、看護師や管理栄養士も、食事の際にクラスに観察に入り、情報を共有します。


年少・年中と年長では、スプーンやフォークを変えています。
年長のスプーンは横も縦も幅広です。一口の量も多くなり、口も大きく開けられるからです。まずはスプーンを使いこなした上でフォークに移行します。
フォークは年長のものは先端がとがっています。フォークは刺さることがあるため危険もあります。そこでまず、スプーンで「口と食具との距離感」をしっかりつかんだ上で使用するようにしています。
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また食事中は隣同士近いので、フォークを振り回すようなことがあると危険です。そうしたこともしっかり伝えた上で、スプーンからフォークへ移行していきます。
最後にお箸への移行です。お箸は使いたいから使わせるのではなく、箸を使うに適した手の発達がまず優先します。いきなり食事でお箸を使うのは難しいものです。そこでまずは、遊びの中でお箸を使っていき、手の発達を促します。
食事でお箸を使う前に、さまざまな大きさや素材のものをそろえ、遊びの中でつまむようにします。

スポンジなどは一番つまみやすい素材です。こうしたやさしいものから始めて、次第に小さなお豆をつまめるようになれば大丈夫です。以上のような「楽しい!」という要素が、子どもの意欲を引き出すのです。
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