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夏見台幼稚園 食育、英語、異年齢保育など 千葉県船橋市にある幼稚園です。

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「本当の賢さ」とは何か?

 「賢さ」を育みたい。では「賢さ」とは何か?辞書で引くと「頭の働きが鋭く知能にすぐれている。要領がいい」などとあります。「利発」「明敏」などの言葉がしっくりきます。

 「賢さ」とは何か?根源的なことをいうと「生きる力」です。「自分で選べる力」ともいえます。ですから私たちのいう「賢さ」とは、単に「お勉強ができる」ことと同義ではありません。もちろん、お勉強ができる(知識がある)ことに越したことはありません。しかしお勉強だけが「生きる力」になるか…これは明らかでしょう。

 これからは人工知能の時代です。多くの仕事が機械に置き換わります。今までの、丸暗記中心の教育が通用しない時代がそこまで来ています。時代に適応するために、2020年に大学入試も変わります。今の子どもたちは大きな変革の時期にいます。

 人工知能は人間の
「知」の領域で大きな存在を占めるでしょう。また機械が苦手とされてきた「情」の分野にも踏み込んできます。人工知能が、心理学のテクニックやコミュニケーション・スキルのパターンを学習すればいいわけです。

 私たちに残された分野は何か。
「意」です。意志・意欲・決断です。「人工知能は○○をすすめてきた。でも私は××を選ぶ」。自分の頭で考え、選択し、自分の責任で行動すること。これが人間らしい生き方です。

 教育が究極的に目指すところは「幸せ」だと思います。かつては、知識の丸暗記ができると、幸せな人生が送れました(あるいはそう錯覚できました…)。これからは違います。すでにある、さまざまな知識を自分の視点で編集し、表現すること。これが人工知能時代に生きる子どもたちのあるべき姿ではないでしょうか。少し大げさに表現すると、

自分の幸せの基準は自分で決める時代

になるのです。ソーシャルメディアに振り回されることなく、自分の頭で考えて、自分で選択できる子ども。そんな子どもを育んでいきたい。そのためのキーワードが、

 内発的動機づけ
 自己原因性(自己肯定感)

 
だと考えています。つまり「心」を育むこと。人生の出発点である幼児期に、遊びを通じて「心」を育みたい。それが夏見台幼稚園です。

 夏見台幼稚園の提唱する「賢さ」とは図のようなペンタゴン(五角形)で表現できます。

 

「賢くなる食育」:正しい「食」は身体や脳の発育に欠かせません。

「賢くなる遊び」:集団での遊び、昔ながらのわらべうたなどは子どもを賢くします。

「賢くなる玩具」:ヨーロッパの高級玩具は@シンプルでA扱いやすくB木の素材を活かしC長持ちしD飽きが来ません。発達段階に合わせた適切な玩具で遊ぶことで子どもは賢くなります。

「賢くなる表現」:絵画表現、音楽表現、文学表現、文字指導、英語など。コミュニケーションの方法を学びます。

「賢くなる運動」:ドイツで開発された「コーディネーション運動」を行います。「歩く・とぶ・転がる・投げる・引っ張る」等、「動きのもと」を育ててあげることが目的の運動です。それには、五感を通して適度の運動刺激を脳に送り「神経回路」を育てます。まさに「賢くなる運動」です。

1:保育園が併設

 
 園内に保育園が併設されていることも大きなポイントです。「0歳からの発達過程を踏まえた教育ノウハウ」を持っています。保育園とは「0歳から6歳までの6年間一貫教育」の場です。幼稚園に入園する前の子どもの育ちはとても大切です。

 子どもの発達は一定の順序を踏みます。例えば、転んだときに顔から地面に倒れ込む子どもがいます。本来でしたら、自分の身を守るために手をつくはずのところが、その支える手が出ない…。そうした場合は、手の運動能力や反射神経を刺激するような遊びで補います。

 このように、入園されたお子さんが必要なステップを跳び越していた場合、0歳からの発達段階に合わせた育ちを理解しているスタッフが、お子さんの育ちを補う「遊び」を提供できます。

 そのために私たちの園では、幼稚園と保育園の間で頻繁に人事異動を行います。幼稚園の担任が、保育園の乳児クラスに異動し、0歳を受け持つこともあります。「0歳に幼児教育のすべてが詰まっている」という共通認識が、私たちの園にはあります。

 「保育園はただ子どもを預かって遊ばせているだけだ」。そんな意見も耳にしますが、実は「遊び」には大変な教育効果があります。発達段階に合わせて「遊び」や「おもちゃ」を切り替えると、子どもの育ちが順調に促されます。身体や心、脳の発達に遊びは欠かせません。

 ところでみなさんはご存知でしょうか?
幼稚園は「教育する」ところ、保育園は「預かる」ところという社会認識がありますが、幼児教育の観点上、両者は同じ5つの領域を扱うことになっています。

 

 幼稚園は「幼稚園教育要領」で、保育園は「保育所保育指針」によって規定されています。その内容を、幼稚園では主として14時までにこなし、保育園では1日の生活リズムの中に落とし込みます。私たちが目指すところは「幼稚園でもあり保育園でもある」新しい幼児教育の施設です。

 そこで夏見台幼稚園には2つのコースを設けました。Aコースは通常の幼稚園のように、朝9時から14時までのコースですが、Bコースは朝7時から18時までのコースです。まさに両者のいいところを合わせたコースです。


2:発達段階に合わせた指導とは?

 先ほど触れた、幼児教育における5つの領域のうち、いわゆる教育的意味合いが濃いものは「表現」「言葉」です。具体的には、「絵画表現」「音楽表現」「文学表現」「文字指導」などが上げられます。子どもが上手に絵を描いたり、楽しく演じたりする姿は、成長を目に見える形で確認できます。親御さんにとっては嬉しいものです。
 
 こうした一つひとつの指導には発達段階に合わせた配慮があります。それを以下に説明いたします。(なお、0歳、1歳とあるのは「0歳クラス」「1歳クラス」ということで、在園中にそれぞれ1歳の誕生日、2歳の誕生日を迎えることになります)

 

 「絵画表現」を例に考えます。絵の具を扱うステップです。0歳クラスでは扱いませんが、1歳クラスではその前段階としてクレヨンを使い始めます。2歳クラスになると、「色水遊び」が始まります。これは色の識別であり、色の変化を楽しむことが主眼です。3歳クラス(ここからが幼稚園)になると、色の3原色(赤・青・黄)を扱います。3原色から始まって新しい色に広げていく(青+黄=みどり、赤+青=紫など)。偶然から後に必然へ。ただし、まだこの段階ではそれぞれの絵筆を「分けて」扱うことができません。絵筆を洗うということもなかなか難しいことですし、色を混ぜてしまいます。そこで絵筆は色別に3本用意し、一つひとつの色を扱うことになります。

 4歳クラスになると、自分で絵筆を洗うことができるようになります。1本の絵筆で色を使い分けます。そして5歳クラスでは、いわゆる「マイ・パレット」を持ち、色を混ぜていきます。

 以上のように、それぞれの発達段階に合わせたメニューを提示します。手先の器用さというものはとても大切で、「やりたくてもできない」ことがあります。それは脳科学的にもわかっていることです。(「脳の学習力」S・Jブレイクモア、U・フリス著 岩波書店より)

 私たちの大脳の上方に「運動野」があります。これは手先などの動作に関わる機能を司ります。おはしを持つ、ペンで文字を書くなどの行為は、運動野の発達と密接な関係にあります。ところでこの運動野ですが、完全に発達するのが「5歳」くらいといわれています(個人差はありますが)。これはどういうことかというと、まだ十分に脳の機能が発達していないと、「やりたくてもできない、手先がうまく動かない」わけです。それでも無理矢理やらせる、あるいはそれを親が過剰に期待すると、子どもはイライラして嫌になってしまうのです。
 
 お箸をうまく持てないこともそうです。手先の機能の発達前に急かせると、うまくいきません。間違った方法を覚えると直すのに時間と労力がかかります。適当なタイミングがあるのです。それは0歳からの子どもの育ちを十分観察し、経験しているとわかることです。

 もうひとつ別の例で考えましょう。「絵本暦」(えほんれき)という言葉があります。お子さんがどのように絵本と関わってきたかの経歴です。「文学指導」の柱となるのは「絵本の読み聞かせ」です。そこにも発達段階に合わせたやり方があります。

 

 0・1歳クラスでは「1対1」の読み聞かせ。絵本はコミュニケーションのツールです。絵本は大好きなお父さんお母さんの膝を独占できる喜びのツールでもあります。そうして子どもたちは絵本が好きになり、本好きになります。絵本というと「教育のツール」と捉えがちです。確かにそうした側面はありますが、小さな子どもにとっては、まず「お母さんが好きだからあの絵本が好き」。肌のぬくもりとともに、絵本の読み聞かせの喜びを与えたいものです。

 2歳クラスになると1つのお話を数人で共有できるようになります。共感する心が育ちます。そして幼稚園に入園する頃になると、次第に大きな集団でお話を共有できるようになります。最終的には「素話」(すばなし)といって、先生のお話をみんなで聞けるようになるのです。

 素話に至る段階にも手順があります。まずはイラストの多い絵本。イラストの助けを借りて、目で見てイメージを膨らませることができます。そしてだんだんイラストの少ない絵本へと進み、その延長に素話があります。視覚に頼らず、耳から入る情報(聴覚)をもとに、頭の中に絵を描き、その絵を動かす(動画)。これがその子どもなりの想像力です。

 学校に上がると、先生の話を聞きながら頭の中に状況を描かねばなりません。幼児教育での発達段階に合わせた取り組みは、結果として、無理なく就学準備を行うためのステップになっています。

 ではこうした絵本暦が十分でない場合はどうするか?みんなでひとつのお話を聞くことができなかったら?その場合は「1対1」での絵本の読み聞かせを行い補えばいいのです。きちんと聞くことを「形」で強制するのではなく、必要なプロセスを経ればいいわけです。これも「0歳からの発達段階に合わせた子どもの育ち」というベースがあるからこそできる教育でしょう。

【素話の様子】
 
 

 これは毎月1回行われるお話し会の写真です。南部名誉園長がお話をする前に、ロウソクに火が灯されます。これが始まりの合図です。その瞬間、子どもたちはファンタジーの世界へ入ります。

 また写真にあるように、お話し会の前日には1枚のイラストが配布されます。翌日行われるお話のカギとなるイラストです。「どんなお話かなあ」と子どもたちは想像力を豊かにします。お話し会の後は、きっとイラストを手に、お父さんお母さんにお話を再現することでしょう。

 こうしてお話を聞くと、今度はその内容を再現したくなります。それが「テーブル劇」「ペープサート」「劇遊び」などです。時には、聞いたお話をベースに全く新しい話を生み出したり…。子どもは空想の世界に生きています。幼児期には想像力を自由に伸ばしてあげることが大切です。

3:異年齢保育

 夏見台幼稚園の教育の大きなこだわりとして「 異年齢保育」があげられます。異年齢保育とは、3歳・4歳・5歳児が同じ教室内で過ごすことをいいます。「縦割り」ともいいます。その反対の言葉が「横割り」であり、こちらがいわゆる通常よく見られる形かもしれません。3歳クラス、4歳クラス、5歳クラスというように、年齢別に教室が分かれるわけです。異年齢保育では年齢別に分かれて行う活動では得られない教育効果が得られます。

(※もちろん子どもの発達段階に合わせて、原則週1回の同年齢活動も行います。つまり「タテ」と「ヨコ」のミックスです。同年齢の集団でこそ育まれるものもありますから)

 「私たちの園は異年齢保育をやっています」というと、保護者のみなさんから次のような質問が出ることがあります。特に年長の子どもを持つ保護者の方からです。

「下の子に足を引っ張られるのではないか?教育が遅れるのではないか?」

 しかしご心配には及びません。それどころか子どもたちの発達に大変よい影響をもたらします。

 
 「子ども集団の教育力」とでもいいましょうか。上の子は下の子に対してやさしくなります。リーダーシップを発揮する機会が生まれます。下の子はすぐにも手が届きそうな具体的な目標ができます。子どもはつねに大人のまねをするものですが、大人のようにはできません。そんなとき、身近にいるお兄ちゃんお姉ちゃんの存在が目に入ります。成長が促されます。このあたりをもう少し詳しく話しましょう。

 いつも同じ年齢の集団で行動していると、自然と序列が生まれます。常にできる子は同じ。しかし異年齢の集団ですと、上の子どもは下の子どもに対して頼られる存在になります。人に必要とされることほど誇らしいことはありません。自己肯定感が育まれます。期待に応えようと頑張ります。教えることは学ぶこと。結果的に上の子は積極的になり理解が進みます。

 リーダーシップにはこうした一面があります。一見、人のために時間と労力を費やし損をしたように見えます。しかし、実は本人の能力が一番上がっていたりするわけです。決して足を引っ張られるわけではありません。

 あるとき、年長の子ども集団が遊んでいました。そこに年齢の小さな子どもが入ってきてしまいました。その途端、誰がいうでもなく「ルールを変えよう」となり、下の子どもでも遊べるように配慮したといいます。

 あるいは、私がビデオの撮影で教室に入ったときのことです。3歳の子どもがレンズを触りたがります。軽く注意したのですが、どうしても触りたいようで止めてくれません。困っていると、年長のお姉ちゃんが一言、「だめよ!」で終了。子ども同士の秩序はたいしたものです。

 どの集団にもルールがあります。ルールを守らないと仲間外れにされることもあるでしょう。ある意味で、幼稚園が子どもたちにとっての最初の試練の場になるかもしれません。そうした摩擦の中で、譲ること、仲直りすること、自分から声をかけていくことなどを学びます。そうしたときにお兄ちゃんお姉ちゃんの存在は大きいと思います。集団の中でもまれて、子どもたちはたくましくなります。

 

 例えば積み木遊び。これは幼児教育的には「構造遊び」といいます。子どもの中に作りたいものが描けていて(イメージする力)、かつ積み木を扱う指先の器用さも備わっていないと、高く積み上げらません。さらに写真のような大きなものになると、仲間同士で協力する必要があります。こうしたときにもお兄ちゃんお姉ちゃんの存在は大きなものがあります。

 自分で積み木を積んでもなかなかうまくいかない。でもお兄ちゃんたちはどんどん作業を進めてしまう。「あと少ししたらお兄ちゃんみたいに高く積めるかな」。こうして意欲が引き出されるわけです。

 子どもの意欲を大人が引き出す、ということも大切でしょう。ただ適切な環境(例えば異年齢集団)があれば、子どもは自然に育っていきます。 特に最近は一人っ子が多くなっています。異年齢集団の教育は貴重になりました。

 では、家に兄弟姉妹がいる子どもはどうか?次のような話があります。弟にきつく当たるお兄ちゃんが、異年齢集団で他の小さな子どもとの接し方を学び、家でもやさしくなった、ということです。

4:身体作りと英語について

 「あの人は運動神経が悪い」。あまり言われたくないものですね。コーディネーション運動のことを簡単に表現すると、運動神経を良くし、運動オンチにならないようにする運動です。

 「コーディネート」というと「ツアーコーディネート」とか「カラーコーディネート」あるいは「服装をコーディネートする」などと使われます。個々のパーツを調整し、全体的なバランスをとることです。コーディネーション運動とは身体の動きを司る脳神経の働きとの関係・バランスを良くする運動です。

 もともとの起源は旧東ドイツでオリンピック選手育成のために開発されたトレーニング法といわれます。単純な動きの組み合わせで、身体と脳の双方に刺激を与えるのが特長で、人の動作をつかさどる脳神経と筋肉などを同時に刺激して運動神経を鍛えます。ドイツではプロサッカーリーグ「ブンデスリーガ」の各チームが同訓練専用トレーニングコートを整備するなど、各競技が効果の大きさを認めている、といわれます。

 「コーディネーション」は、サッカーの日本代表チームのオシム前監督のトレーニング手法によく取り上げられていました。幅広く様々な動きをする「コーディネーショントレーニング」をすることで、体の使い方がうまくなり、結果として競技力が向上し、ケガをしにくい体をつくりあげていくことができます。

 身体をバランスよく精妙にコントロールすること、コントロールできること。これから子どもたちは様々なスポーツをするでしょうが、そのベースとなる身体コントロールの基礎を、この園で培って欲しいものです。

 次に英語です。英語を早く勉強することの是非はなかなか難しいものがあります。人工知能がものすごい勢いで自動翻訳機の性能を向上させているため、やがて英語は「必修科目」から「選択科目」になるかもしれないと、私(園主)は考えています。しかしそれがいつになるか(30年後には間違いなくそうなっているでしょう。しかしもしかしたらもっと早まるかもしれません…)。

 人工知能が言語の壁をなくしてしまったら、母語で何を考え、いかに表現するかが大切になります。自分の意見を自信を持って主張する「自己肯定感」も求められます。

 ただ日本という国は歴史的に見て、海の向こうの言語(漢文、蘭語など)を学ぶことが1つの教養というか、努力のバロメーターというか。大学入試では相変わらず「受験英語」の比重が高いものです。私(園主)は個人的には、英語が「受験英語」として大きな比重を占めている限り、がんばって英語をマスターすべきだと思います。

 そこで英語は大手のECCに外部委託しています。年中から小学3年生まで課外(午後)にて講座を受けられます。2018年3月末までは、自前のイングリッシュ・スクール(トレポンテ・イングリッシュスクール)を運営していましたが、スタッフが1名辞職したこともあり、大手企業のノウハウを導入するに至りました。

 在園児については、Bコースの課外はECCが、A・Bコースの正課(午前)は、私たちの経営である「トレポンテ・イングリッシュスクール」が行います。

 さらに重要なことは、母語で論理的に思考すること。大学受験はともかく、就職した後のことを考えると、国語こそが武器です。母語で話す・母語で書く。企業はグローバル競争をしているので、自動翻訳機を効率よく活用して仕事をすることになるでしょう。そうなると問われるのは、頭の中身です。

 人生の何をテーマにしているのか?
 自分の情熱を何に傾けるのか?


 専門性が問われるでしょうし、新しいことを勉強していく姿勢(意欲)も大事です。これからは
ダブル・メジャーの時代(専門性を複数持つこと)です。

 話が長くなりましたが、だからこそ大切なのが
「意欲」です。「テーマ」です。くり返しになりますが、知識は人工知能が持ってきてくれます。人間はそれをいかに編集するかです。幼児期にこそ、「意欲」の源を育む必要があるのです。

5:本格的な食育を実践

 まずは下のビデオをご覧下さい。やや長いビデオですが、乳幼児の食事を準備するということ、しかも時間通りに、年齢別に、安全かつ大量の食事を用意することは大変なことです。これが1年中くり返されます。

 夏見台幼稚園には保育園が併設されているので、専用の調理場があります。乳児の食事作りには安全面を含めて細心の注意が払われます。私自身、カメラを回しながら感動しました。幼稚園、保育園の子どもたちだけでなく、私たちスタッフも毎日、この食事を食べています。とてもおいしいです。

 

 食育こそ、夏見台幼稚園の柱となるものです。食育とは単なる栄養学以上のもので、「食べる」ことを通じた「意欲」を引き出す教育ともいえましょう。

 お昼ごはんの前に十分な活動を行うこと。お腹が空いていること。すると子どもは意欲的に「食」に向かいます。そして「食べた!」(食べ切った)という体験を積み重ねていくことが大切です。食べ物を残してしまうことは、子どもにとっても嫌なものです。

「また残しちゃった…」
「食べ切れなかった…」

 するとだんだん子どもの「食」に対する意欲が落ちてきます。「できた!」という達成感が「やる気」(次への意欲)につながります。だから私たちは「クラス配膳制」をとります。各クラス担任が一人ひとりの子どものコンディションを確認した上で「食べきれる量」を提供します。ここでもやはり大切なのは、子ども自身の「楽しい!うれしい!やってみたい!」です。

 

 5名の専用スタッフが、毎日の子どもたちの元気を支えています。写真は毎月最終金曜日のお楽しみ給食の準備の様子です。こいのぼりのオムライスです。この日のメニューは、いつもの内容に一工夫加えて、子どもたちがより一層喜びそうなメニューにします。こうした対応ができるのも、園内に専用の調理場があるからこそです。

 またAコース(午後2時)の園児たちは残念ながら食べられないのですが、毎日のおやつももちろん手作り。チーズケーキやプリンなどもあります。市販のものと見間違うくらいの完成度です。しかし、子どもにやさしい素材で作っています。調理師の新井さんはその道○○年の大ベテランなのですが、お菓子作りについては料理の先生について勉強する熱心さです。「お菓子は最後の包装まで手を抜いてはいけない」とのことです。

 

 子どもたちが「楽しい!うれしい!やってみたい!」という気持ちになるには直接体験が欠かせません。畑づくりは最高の機会を提供してくれます。敷地内に約80坪の畑があるので、外遊びの際はすぐに立ち寄れます。「あ、昨日より大きくなった!」という発見、感動。種まきから関わっているので、野菜の成長は自分のことのように嬉しいのでしょう。

 

 「トウモロコシにはヒゲがある」ということも、冷凍コーンばかり食べていたのではわかりません。あっという間に自分の背丈を追い越してしまったトウモロコシ。トマトと違ってなかなか収穫できません。力いっぱい握り締め、「もげた!」。この「もげた!」という表現は、体験が伴わないと出てこない言葉でしょう。「とれた!」ではなく「もげた!」。

 最近日本語の語彙力が貧しくなってきたといわれますが、それもやむを得ません。言葉は体験の中から生まれてきたのです。子どもにはできるだけ自然な体験を積ませたいものです。

 
 

 先ほど触れた「クラス配膳」の様子です。すぐ上の写真では、調理師がうどんを一人分ずつおおまかにより分けています。クラス担任が盛り付けやすいようにとの配慮です。本当でしたら、調理室ですべてそれぞれの分量を取り分けてしまい、それをクラスに運べば簡単です。しかし手間はかかってもこうした方法で、子どもたちの「完食」をサポートします。すべては「意欲を引き出す食育」のため。

 

 ちなみに調味料にも気を配っています。コストの問題があるので、全ての調味料を自然食品店で購入することはできないのですが、お汁のだしは、「○○のだし」のようなものは一切使わず、昆布、かつお節やサバ節、煮干しを贅沢に使います。私はビデオ撮影の合間に離乳食をいただいたのですが、ニンジンのペーストなどは最高の味です!小さなうちからこうした本物の味覚に慣れておくことは大変重要でしょう。「コンビニ弁当が一番おいしい」ではちょっと困ってしまいます。

 また甘味としては、「三河本みりん」を煮切って使用しています。値は張りますが、私たちは子どもたちの「舌」を育みたいのです。子どもの舌にある味蕾(みらい)細胞は繊細です。刺激の強い甘味を避け、複雑でマイルドな甘味に慣れてほしいのです。

 ただしお菓子作りには、栄養価の高い「てんさい糖」を使っています。白砂糖は精製されているため、ミネラル成分や食物繊維がそぎ落とされています。昔「コーラを飲むと骨が溶ける」と言われましたが、正確には、精製された白砂糖すべてに当てはまります。

 最も「骨が溶ける」というのは言い過ぎでしょうが、砂糖は体内でエネルギーに変換されるときにカルシウムなどのミネラルを必要とします。白砂糖にはミネラル成分が不足しているため、体内のカルシウムを奪います。清涼飲料水などをガブガブ飲んでいると、カルシウム不足になり、イライラしたり骨折しやすくなるのはそのためです。

※てんさい糖といっても、砂糖は砂糖、とりすぎは禁物です。
 
 

 みんなで食べる食事はおいしいですね。たくさん食べて、大きく育ってほしい。そして「正しい食事」「正しい食習慣」を身につけてほしい。何よりもまず、健康。それが私たちの願いです。



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