H23.7.1(金)宮崎県立都農高等学校



第3ステージスタート。
いつも宮崎市での定宿としているホテルのエレベーターホールには
いつも朝日新聞がただで山積み状態だ。
これは地方に行くとどこでもそうで
読売、朝日は「無料」。
新聞、売れてないようだ。



あいにくの雨。
おきまりの玄関での写真。

 

体育館で講演することが多い私は、
7〜9月はできるだけ講演依頼を受けないようにしている。
夏の体育館はたまらない。
私はまあ、話す方は必死なのでまだいいが
聞く方は地獄だ。

 

だから宮崎キャラバンは基本的に「5月と10月」となっていた。
しかし、どうしてもスケジュール調整がうまくいかず
7月開催となった。
その第1校目が、都農(つの)高校。
総合学科だ。
蒸し暑い中、けだるく講演は行われた。
みなさんお疲れ様でした。

ところで講演後にもらったアンケートの中に質問があった。
それは「メンター」について。
メンターとは精神的助言者といった意味合い。
メンターを見つけましょう、といったことを話す。
私はメンターは実在の人物でなくても構わない、
といって漫画や物語の中にもメンターはいるよと告げる。
そうしたら次のような質問が来た。

「メンターになる条件は?」

私は次のように答えた。

【以下回答】
いい質問です。
ではまず「主人公の条件」から考えてみましょう。

主人公は孤独です。
そして心に傷を持っています。
要するに完璧ではないということです。
しかし孤独だからこそ、誰とでもくっつくことができます。
王女様と結婚するかもしれないのです。
心に傷を持つからこそ優しくなれます。

映画でも何でも、物語の最初に主人公は孤独でないとしても、
すぐに敵に襲われたりして家族を、恋人を失います。
住んでいた村の平和は失われるのです。
主人公は一人にさせられます。

ここにおいて主人公は、
村に秩序を取り戻すために旅に出なければならないのです。
ライバルを倒し、新しい力を手に入れる。
つまりよりいっそう成長しなければならないのです。
そうなのです、主人公の使命とは 「成長」 です。

ではライバルの条件は何か?
それは「主人公よりもつねに強い」ということです。
ジャイアンを見てください。
のび太よりも強い。
もしジャイアンがのび太より弱かったら?
物語は始まりません。

ではなぜライバルは強いのか?
それは 「ここまで成長してみろ!」 という主人公へのメッセージなのです。

相手が強すぎて勝てない主人公は途方にくれます。
そんなときに現れるのが「メンター」です。
メンターはさまざまな方法で主人公の成長を手助けします。
自らの死(つまり主人公にとっての自立)が主人公を成長のためであるならば、
進んでメンターは命を投げ出します。
主人公は必ずメンターと別れなければならないのです。

成長した主人公はライバルを倒します。
旅は終わりです。
主人公は村に戻ってきます。
つらく長い闘いの旅を終えて帰った主人公を待っていたのは、
自分より年下の、どうにも未熟な若者です。
旅を終えた主人公の新しい使命がここに生まれます。
今度は自分がその若者の「メンター」になる番なのです。

つまり「メンターの条件」とは、「かつての主人公」 ということです。
自らがリスクを負って旅に出て戦わない限り、
その人は人のメンターにはなれません。
メンターになるには、
まずは目の前のことに懸命に取り組むこと。
努力すること。
失敗すること。
人の痛みを知ること。
そうして気づいたときにメンターになっています。
以上をグラフ化しましょう。



多くの物語は3幕構成になっています。
主人公の物語とは実は「メンターをめぐる死と再生の話」なのです。

(1)旅立ち。
まずは旅に出なければなりません。
過去の自分との決別です。
そうしたリスクを犯す英雄には助言者であるメンターが現れます。
まずは行動する。
するとメンターに出会えます。

(2)困難。
しかしライバルはあまりに強く、主人公には危機が訪れます。
その中でも最大のピンチはメンターとの別れでしょう。
メンターは主人公の代わりに命を落とすかもしれません。
しかしそのときこそ、
主人公がひと回り成長し、メンターから自立するときなのでしょう。

(3)再生。
パワーアップしたメンターはライバルを倒し、故郷に帰ります。
そこで新しい主人公のメンターになるのです。

以上が物語の原理原則です。
アメリカの神話学者が分析しました。
ハリウッドの映画はそんな脚本だらけです。
ライオンキング
スター・ウォーズ
ロード・オブ・ザ・リング
マトリックス
ハリーポッター
そんな視点で映画を見ると面白いですよ。

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